それぞれのひかり
合わない作品を観ると自分の輪郭がよくわかる。
合わない作品、苦手な作品を観た時にこそ言葉にして残すべきかもしれない、と思い立ち書いてみる。
先日、杉田協士『ひかりの歌』をポレポレ東中野にて鑑賞した。実は去年のフィルメックスで観た『春原さんのうた』が自分にはもう全然ダメで、シネフィル界隈からも評判が良い今作ですら観るのが怖かった。
結果的には普通に、いや正直良かった。女性として見られてしまう故の気持ち悪さや歯痒さ、申し訳なさが混在した2章なんかはかなり好き。一部肉感のあるエロティシズムを感じさせるチグハグさももはや良い意味でおかしかった。ショットも随所でかなりキマっているし。それでもやっぱり杉田監督の作品には自分の求めているものはないような気がした。
両作ともひたすらに優しく親切だ。出てくる人々は基本みんないい人。誰も価値観や説教を押し付けない。その優しさは『春原さんのうた』では扉や窓を開く動作、吹き抜ける柔らかな風と光にも表される。文字通り開かれた映画だ。ただ開かれているわけでなく、アクション繋ぎだって上手い。その一方でかなりハードコアな作風だった。省略に次ぐ省略、ここまで省略してはもはや何もないと同義ではないかとさえ思う。
ちなみに『ひかりの歌』ではその省略がちょうどよく機能する。1章ではさっきまで日が差していたはずなのに気付いたら日が暮れている。物語がわかる範囲内でサクサク進む。次のカットで平気で数時間飛ぶ。それぞれのストーリーは繋がっていく。2時間半の長尺も長いは長いが、長ったらしいという印象は持たなかった。
全体の印象しか書かないとなんだか空虚なので具体的に書く。2章、ガソスタでの夫婦とのハグが特に良い。勘違いおじさんたちの気味の悪さはよく描けている。3章、貸してあげる上着に「また会えるよ」って言葉は咄嗟の一言だとしても嬉しかった。皆よく食べよく飲む。出てくるごはんはちゃんと美味しそうに撮られる。でもそもそも題材となる短歌が全然よくない。1章「反対になった電池が光らない理由だなんて思えなかった」だけは遅れてやってくる悲しみみたいで良いなと思った。披露される歌もキッチュなものばかりで、タイトルの「うた」部分はきっと歌であり詩なのだろうけど「うた」と名乗る作品としてそれはどうなのか。
日常を大切に扱い隣の人と手を差し伸べ合う。いきなり家を飛び出しても誰も怒ったり責めたり理由を問いただしたりしない。「ただいま」と「おかえり」が待っている。お世話になった人には礼儀正しい。そんないつもにこやかでいられるような距離感の心地よさに惹かれる気持ちもわかる。多分その優しさが向いてなかった。どうやらわたしは映画に優しさを全然求めていないらしい。いわゆる"not for me"。恋人はどっちも泣くほど好きみたいだけど。でも分かり合えないものを分かり合う必要も別にないし無理に寄り添わなくたっていい。あなたはあなたでわたしはわたし。
Souvenir Souvenir
東京アニメアワードフェスティバル2022にてちょっとものすごい作品を見てしまったのでちゃんと文章に残そう。
Memories of the Algerian War | "Souvenir Souvenir" - Short film by Bastien Dubois
※Youtubeの字幕設定をオンにすると日本語字幕が出ます。
フランス産のアニメーションで邦題は『語らない思い出』。
ちなみに「souvenir」とは日本語で
1.記憶
2.記念品、土産(みやげ)、形見
を意味する。
「おじいちゃんは戦争の話をしない」
アルジェリア戦争での本当の話を聞き出したい孫と美しい思い出以外は何も話さなかった祖父。
(皮肉にも史実には忠実であるらしい)悲惨な戦場の妄想と現実パートの書き分け。特に現代パートは美術的で鮮やかな色彩がアニメーションとしてガンガン動く。そこにドキュメンタリーテイストの音が乗る。街中の喧騒が心地いい。その表現手法だけでも新鮮だが、血が繋がった家族という間柄でも踏み込むには非常にナイーブでセンシティブな問題として戦争が描写される。
何度も祖父に質問を投げてもなかなか語られない本当の戦争の姿。「いつまでその話をするんだ!?徴兵されて仕方がなかった。」加害側であっても彼(ら)はきっと十分に傷ついた。何十年経っても割り切れないほどに。しかし結局作中では祖父の心情が明かされることはほぼない。あくまでも客観的事実のみで構成される作風は下手に白々しさを感じさせず上品で、それでいて極めて現実的である。
フラフラの兵士(おそらく若かりし頃の祖父)を目にし、投げようと手にしていた石は投げられなかったラスト。裁くつもりなんてなくとも時として聞き出す行為そのものが批判となる。「後学のため」「知ることは大事だ」と言えば聞こえはいいが、直視すらできないトラウマを引きずり出すトリガーになり得てしまう。
小森はるか+瀬尾夏美の映画『二重のまち/交代地のうたを編む』でもこの問題は映されていた。3月のあの日、大事な人と街を亡くした陸前高田の人々に聞く態度と言葉は何が正解かと模索する若者たち。中でも子どもを亡くした家族と対話するが「息子さんの話を聞くことが全然できなくて」と思い悩む三浦碧至さんの姿に重なる。
戦争を体験していない若者がどうやって戦争と向きあうべきか。
アニメーション表現としても秀逸なだけでなく、先日震災から11年を迎え今まさにウクライナ侵攻問題に直面している現在の私たちに必要なものが詰まっている気がする。そして全ての社会問題に立ち向かうためにも。
2021年 いろいろなベスト
はてブってスマホから書くと改行変に空くからPCから書こ〜〜ってダラダラしてる間にもう大晦日のこんな時間になってしまった。
誰かの真似をしてまとめた上半期、
今更下半期とか別々でまとめるのもだるいので思いついたことだけ記録しておこうと思う。
映画(上映)新作
①村瀬修功『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
②イシグロキョウヘイ『サイダーのように言葉が湧き上がる』
③ルーク・ローレンツェン『ミッドナイト・ファミリー』
④ジェームズ・ワン『マリグナント』
⑤スパイク・リー『アメリカン・ユートピア』
次点:アンディ・サーキス『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』、西川美和『すばらしき世界』
映画 旧作 (の羅列....)
・エリック・ロメール『モード家の一夜』
・エリック・ロメール『パリのランデブー』
・エリック・ロメール『冬物語』
・フランソワ・トリュフォー『映画に愛をこめて アメリカの夜』
・ギヨーム・ブラック『宝島』
・エドワード・ヤン『恐怖分子』
・ロバート・アルトマン『バード★シット』
・ロバート・アルトマン『ナッシュビル』
・ホン・サンス『教授とわたし、そして映画』
・ヴィム・ヴェンダース『アメリカの友人』
・増村 保造『親不孝通り』
・井上 梅次『死の十字路』
・三宅 唱『THE COCKPIT』
・水野 さやか『川崎競輪』
・黒沢 清『蛇の道』
・ジャン=リュック・ゴダール『カルメンという名の女』
今年はまあこんなのランク付けできるわけないよねってくらいの、いわゆる名作をたくさん観てしまったので全く優劣決められなかった!
音楽
今年もアルバム単位で聴くことは少なかったけど、その中でもよくアルバム単位で聴いたアルバム・EPたち
※上期に出したやつを除いたピックアップ
Amber Mark /Foreign Things (George IV Remix).
元々アンバー・マークは好きだけど1曲にフィーチャーしたリミックス・リワークアルバムって形式としてまずめっちゃ好き。
作業用としてもちょうど良かったので結構聴いた!!
Bruno Mars, Anderson .Paak, Silk Sonic / An Evening With Silk Sonic
open.spotify.comよくないわけが無いふたりのよくないわけがないアルバム。
これぞ多幸感の具現化。
BIGYUKI / Neon Chapter
上期ではSam Gendelを挙げたけど、日本で今一番イケてるモダンジャズといえばやっぱ今はもうBIGYUKIになるのかな?
一曲目からアート・リンゼイなんかも参加しちゃって、間口を広げつつバシッと一枚で聴ける作品。ただただかっこいいー!
Jordan Rakei / What We Call Life
ここ最近UKのSWの中でもずっと注目を集めているジョーダン・ラカイ!
トム・ミッシュやロイル・カーナーとのコラボからすごく良かったけど、今作はさらにアンビエントな一面が見えたりしていてまた違った聞き応えがあった。
Doja Cat / Planet Her
全世界的GAL ドージャ様。
ドージャ様聴きながら化粧するとなんか盛れるんだよねー!
ゲストもヤングサグ、SZA、アリアナ、Weekend、JID とちょ〜〜〜豪華で華しかない!
Emma-Jean Thackray / Yellow
新世代ジャズの中でも確実に才覚を表している彼女。
リリースされた時もめちゃくちゃTLで盛り上がってた。
(わかってても)最近のジャズってこんなにかっこよくて踊れるの!?ってなるほどダンサブル!!!最高!!!!!
Cosmo's Midnight / Yesteryear (Remix Album)
元々Cosmos Midnight大好きだし正直彼らの音楽で踊れない人間いないっしょ、って感じだけど、このリミックス・リワークアルバムはかなり各ゲストの解釈が入ってて最高に楽しめた。
ブラスバンドによる再構築もすごいけど、Emma-Jean Thackrayのリミックスがやっぱ頭ひとつ抜けてる!!!
化粧品・スキンケア ベストバイ
※上半期に書いたものを除く
①キャンメイク/ クリーミータッチライナー
この商品に関しては「安いから使ってるんじゃなくて本当に使いやすいから使ってる」
って口コミをよく見かけたけど、本当にそうだった...!!!
多分値上げしても使い続けるし、全色コンプしようかなー。
②アディクション/ パーフェクトラウンドブラシ
化粧ってある程度の技術も必要だけど実はツールがキモだったりする。
ふわっっっふわで使い心地も最高、多分誰が適当に使ってもほどよく薄づきになるスペシャルブラシ。
決して安くはないけど、あれ?おれ化粧上手くなった?って錯覚するレベル。
③イヴ・サンローラン/ルージュ ピュールクチュール ヴェルニ ヴィニルクリーム
マスク生活の中今年もたくさんリップ買っちゃったんだけど、中でもこれは
・マスクに付きづらい
・発色いい
・荒れない
・瑞々しいけどベタつかないテクスチャ
の4冠を達成!!
マスクに付きづらくて且つ荒れない落ちない系だとクラランスのコンフォートリップオイルも長らく重宝してるけど、クラランスは発色があまりにも強くて適当に塗りにくいのが難点。
あとなんだかんだサンローランの方が持っててテンションあがる!
お色は407 カーミンセッション、どんなアイメイクにも合いやすい。
④スキンコットン/濃厚リペア デイクリーム
化粧品編、3位までで終わらそうと思っていたけど数日前に買ったこのハンドクリームがあまりにも良すぎて急遽入れてみた。
今年はtrackの金木犀バームやFEMMUEのハンドクリーム、ZARA HOMEとか色々買ってみたけど、付けた後の潤いと肌触りが段違い!
スルッと伸びるテクスチャにキツすぎない匂い、パケもシンプルでそれでいて1000円ちょっとでコスパも最強。
一回使っただけでハンドクリームはスキンコットンしか勝たん状態になった。
入念な手洗いと頻繁なアルコール消毒で年中乾燥しがちになってきたし、冬だけじゃなくてオールシーズン使いたい!
ナイト用も買ってみたからそっちも楽しみ〜
家電 ベストバイ
①ドラム式洗濯機
大切な衣類以外は洗濯から乾燥まで1工程で済むのがもう鬼楽で手放せない。
予算とサイズの関係上、全然高い機種じゃないけどそれでも概ね満足!
②最新のFire TV Stick
家のTVが50インチあるのも相まって、映画もバチェラー鑑賞も捗る捗る。
もうPCで映画見れない身体になっちゃったかもしれん、、
③象印 ミキサー ミルつき
これのおかげで一時期毎日スムージー作りまくってた。
色んなフルーツや野菜に、低脂肪牛乳やヨーグルト、フルーツ系のプロテインを適当にぶち込むだけで立派なスムージが出来るから身体にも美容にもいい!
取り外しも楽でサッと洗える。黒くて無難なデザインも嬉!
やって良かったこと
①ハリウッドブロウリフト
西洋っぽいふっさり眉毛になれる、最近巷で話題の美容施術。毛が少ない部分も増えたような印象に仕上がる。
眉毛ってなんだかんだ一番印象を左右する部位なのにメイクの中でも一番難しくて悩んでいたから本当にやって良かった!
モチは3〜4週間だけど、数年後高確率で変色するアートメイクより全然いいと思う。
②パリジェンヌラッシュリフト
別にまつ毛なんてビューラーであげればいいっしょ、くらいに思ってたけどパリジェンヌしてから会った長年の友人に、「なんか今日化粧上手いね!」って褒められた!!
他にマツエクもしてみたけど、自分にはラッシュアディクトでマツ育してパリジェンヌで上げるくらいが最適解っぽい。
③ハイフ
これも最近みんなやってる勢いの話題の美容施術。
そこまで自分は顔に肉つくタイプじゃないしそんなに変わらないっしょ〜〜とナメてたけど、ハイフ当てた側と当ててない側では雲泥の差レベルでフェイスランが引き上がってて驚き!(施術中に手鏡で見せてもらった)
ただ痛みは想像以上で施術中ずっと静かに動揺してた。
耐えられなくはないけど、医療脱毛の痛みレベルでいってぇ〜〜
漫画ベストはどっかで出ると思うのでまた後日。
来年はヴェルヴェットスキンとかも予約済みだし、バンバンアンチエイジングもしていく!
にっき 21/09/14
・10月にアルバム発売を控えたジェイムス・ブレイクが最近定期的にシングルをリリースしてくれる。全て気持ちいい。
ジェイムス・ブレイクといえば、大学受験期の冬にやたらとずっと聴いていたので彼の声を聞くと否応なしにあの時期の寒さとかコートの厚みとか電車の開け閉めの時の寒さが蘇ってくる。
彼の犬顔が好きで、一時期熱心に画像を集めていた。2019年に出た前作『Assume Form』のジャケでは流石に老いを感じた(アルバムの出来はマジで最高)が、近影の金髪ジェイムスくんもとてもいい。
・9月は今のところやはりLittle Simzの新譜を一番聴いている気がする。
各所で話題になっているし、今年度のベストアルバムに入れる人多いだろうな。本当に大作。(私もリリース直後のタイミングからヘビロテしているけど、聴くきっかけは実は元彼のspotifyのアクティビティだったり…)
10月にはRoss From Friendsのアルバムもある。すでにリリースされているシングルがめちゃくちゃに好みの音なので期待大!
2、3年前のソニマニで観たのが随分昔のよう。
・ツイッターでBIGYUKIの東名阪ツアーを知る。
ビルボードでソロセットとのことだが、モダンジャズというよりはもっとクラブミュージック寄りだと思っていたのでどういうアクトになるのか気になる。モダンジャズのライブと言えば、そういえばSam Gendelも近々ツアーやるって話あったけど結局どうなったのだろう。つい最近Black Midiも延期になったしやっぱ来日はきついかなー。BIGYUKIも数年前フジで観たんだった。気軽にライブやフェスに行きまくってたあの頃の感覚が薄れていく。
・始業前に朝からスーパーに行ったら生あゆが買ってくれと言わんばかりにぷりぷりと身を光らせていたのでつい手に取る。あゆを塩焼きにする場合はほとんど下拵えは不要だが、生前出きらなかった排泄物が残っている可能性を考慮して腹を優しく撫でながら出してあげた方がいいらしい。あゆのうんち。💩
・神楽坂(付近)に住んで早5年、初めて神楽坂の美容院に行ってみた。普段通っている美容室が今週全然予約が取れないから行っただけなのだけど結構いい感じ。「流行りすぎて定価で買えない」というセールストークに煽られてtrackのオイルを購入。
なぜかエステ帰りとかより美容室帰りが一番美意識高くなるから散財しそうになって危ない。あぶねーってか今回はアウトだけど。
・美容院帰りにかもめブックスで、「この仕事が終わったら買おう!」と思って先延ばしにしていた「現代思想」をついに買おうとしたら見事に売り切れ。「この仕事が~」と思っていたらいつの間にか「その次の仕事」くらいになっていた。今の仕事をしているといかに料率が利益に影響するかってことが身に沁みるのでアマゾンで気軽にポチれなくなる。特に青土社なんて利益率低そうな出版社の本なんて尚更。急いでないし今週中にどこかの本屋で買うか〜。
マンガ必読書101 電子書店員ver.
赤井氏、ほしがたさん、竹田さん、井戸畑先生がやってた企画?を真似して俺的マンガ必読書101をやってみます。(このブログ基本人の真似しかしてないな。。)
※ルールは1作家につき1作品
- 都留泰作『ムシヌユン』
- 望月峯太郎『バタアシ金魚』
- 林田球『ドロヘドロ』
- 岡本倫『エルフェンリート』
- あずまきよひこ『よつばと!』
- つげ義春『義男の青春・別離』
- 岡崎京子『pink』
- 阿部共実『ちーちゃんはちょっと足りない』
- 古谷実『わにとかげぎす』
- 秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所 』
- 安達哲『キラキラ!』
- ねこぢる『ねこぢる大全』
- 筒井秀行『書道教室』
- 志村貴子『おとなになっても』
- いがらしみきお『ぼのぼの』
- 鬼頭莫宏『なるたる』
- panpanya『蟹に誘われて』
- 黒田硫黄『茄子』
- 山本直樹『YOUNG&FINE うみべのまちでぼくらはなかよしだったか』
- 楳図かずお『わたしは真悟』
- 高野雀『世界は寒い』
- 根本敬『生きる』
- 田村由美『7SEEDS』
- なもり『ゆるゆり』
- 蛭子能収『パチンコ 蛭子能収初期漫画傑作選』
- 石黒正数『ネムルバカ』
- 紀伊カンナ『海辺のエトランゼ』
- 徳弘正也『狂四郎2030』
- 津田雅美『彼氏彼女の事情』
- ヤマシタトモコ『違国日記』
- 押切蓮介『ミスミソウ』
- 江川達也『東京大学物語』
- 若杉公徳『デトロイト・メタル・シティ』
- 熊倉献『春と盆暗』
- 松田洋子『相羽奈美の犬』
- 鶴田謙二『おもいでエマノン』
- 安野モヨコ『花とみつばち』
- タナカミホ『いないボクは蛍町にいる』
- 古舘春一『ハイキュー!!』
- 横山了一『飯田橋のふたばちゃん』
- 福本伸行 萩原天晴 上原求 新井和也『1日外出録ハンチョウ』
- 松本大洋『松本大洋短編集 青い春』
- ジョージ朝倉『ハッピーエンド』
- 高松美咲『スキップとローファー』
- 植芝理一『謎の彼女X』
- 西森博之『今日から俺は!!』
- 伊藤潤二『うずまき』
- 福満しげゆき『僕の小規模な生活』
- 田島列島『子供はわかってあげない』
- 岩明均『寄生獣』
- 絹田村子『読経しちゃうぞ!』
- 東村アキコ『かくかくしかじか』
- 山上たつひこ いがらしみきお『羊の木』
- 真造圭伍『森山中教習所』
- 矢沢あい『Paradise Kiss』
- つくしあきひと『メイドインアビス』
- 鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』
- 荒川弘『銀の匙 Silver Spoon』
- 石川雅之『もやしもん』
- 藤井哲夫 かわぐちかいじ『僕はビートルズ』
- 高橋留美子『高橋留美子劇場』
- 五十嵐大介『ディザインズ』
- スケラッコ『盆の国』
- 真鍋昌平『闇金ウシジマくん』
- 幸村誠『ヴィンランド・サガ』
- 松本剛『すみれの花咲く頃』
- あらゐけいいち『日常』
- 諸星大二郎『私家版鳥類図譜』
- 入江喜和『ゆりあ先生の赤い糸』
- 木尾士目『げんしけん』
- 幸田もも子『あたしの!』
- 手塚治虫『奇子』
- 椎名うみ『青野くんに触りたいから死にたい』
- 模造クリスタル『ビーンク&ロサ』
- 中沢啓治『はだしのゲン』
- まにお『きたない君がいちばんかわいい』
- 泉昌之『感情的』
- 町田洋『夜とコンクリート』
- サレンダー橋本『全員くたばれ!大学生』
- 南勝久『ザ・ファブル』
- 草野誼『かんかん橋をわたって』
- 米代恭『あげくの果てのカノン』
- 山本英夫『のぞき屋』
- さいとう・たかを『サバイバル』
- すぎむらしんいち『最後の遊覧船』
- タナカカツキ『逆行の頃』
- 百名哲『演劇部5分前』
- 福田晋一『その着せ替え人形は恋をする』
- 丸顔めめ『スーパーベイビー』
- ジョージ秋山『アシュラ』
- 桑原太矩『空挺ドラゴンズ』
- 鳩胸つるん『ミタマセキュ霊ティ』
- ばったん『かけおちガール』
- 入江亜季『北北西に曇と往け』
- KAITO『青のフラッグ』
- 西村ツチカ『北極百貨店のコンシェルジュさん』
- 山本さほ『岡崎に捧ぐ』
- 宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』
- ふみふみこ『さくらの園』
- 南Q太『さよならみどりちゃん』
- 沙村広明『幻想ギネコクラシー』
※順番は上位以外順不同
2021年上半期 いろいろなベスト
信じられないことに6月ももう終わるけど上半期みんななにしてた?おれはね...
ってことで上半期に摂取した〇〇ベストをつけてみる。
ちなみに、去年から引き続き今年の3月半ばまでは演劇やりながらアホみたいに忙しい業務をこなし、5月終わりにあった大型の企画承認後は部屋で干からびる日々を過ごしている。
バカでかい躁モードに入り突然英会話契約してみたり、Udemyで色々買ってみたり。当たり前にその後は反動であるバカデカ長鬱のビッグウェーブが来たので進捗は頗る悪い。
本に関しては漫画以外の活字が本当に読めないので
霊障、カメラの前で演じること、躁鬱大学、フォークナーの短編、村上春樹の短編2冊
くらいしかマジで読んでないのでベスト対象から除外。
映画は新作を観てなさすぎることに気付いたためスクリーンで観たかどうかで分けてみる。
というわけで映画から〜
映画(上映)
①エリック・ロメール『モード家の一夜』
②ギヨーム・ブラック『宝島』
③エドワード・ヤン『ヤンヤン 夏の想い出』
映画(自宅で鑑賞)
①エリック・ロメール『パリのランデブー』
②ホン・サンス『教授とわたし、そして映画』
③フランソワ・トリュフォー『映画に愛をこめて アメリカの夜』
【コメント】
上記6作品全て泣いたので正直順不同。
漫画(一般)
①おとなになっても 4 /志村貴子(講談社)
②よつばと!(15)/あずまきよひこ(KADOKAWA)
③ブランクスペース/熊倉献(ヒーローズ)
【コメント】
①今一番新刊を楽しみにしてるシリーズ。志村貴子ベスト!
②日常系作品って四季はあれど登場人物が明確に歳を取ることはほぼない中、まさかのよつばが…。大号泣。
③前作『春と盆暗』から数年動きがなかった熊倉先生の最新刊が出た時は震えた。2巻はよ〜
漫画(アダルト)
①おんなのこのにく/いつつせ(ワニマガジン社)
https://book.dmm.co.jp/detail/b915awnmg01251/
②今どこに何が入っているか言ってみなさい!/花犬(ヒット出版社)
https://book.dmm.co.jp/detail/b120ahit01234/
③バグってデッドロック/高柳カツヤ(コアマガジン)
https://book.dmm.co.jp/detail/s011akamj00497/
【コメント】(全て書誌から)
①「感情とリビドーを爆発させて、大量射精エクスタシーへと駆けあがれ!!!!」
②「昭和の子種が令和の子宮に神風特攻!!」
③「目の前に広がる耐えられない日常から解き放たれた一瞬が、輝く永遠になる。」
https://book.dmm.co.jp/detail/b182asnw00139/
がかなり素晴らしく読み応えがあった。
ベースはハードなスカトロモノだけど真髄はそこではなく若返りありTSありの大傑作ファンタジー、恐るべき掘骨砕三。
書いてて気付いたがR18コンテンツは書影などのOGPが表示されないみたい。
はてぶ、うまくやりよる!
アルバム
①week dudus 『VEGA』
②Rhye『Home』
③Sam Gendel『Fresh Bread』
【コメント】
①ABEMAのラップスタアで大注目を集めた2000年生まれの今一番期待してる若手ラッパー。本当にラップがうまいし声もビートも天才。異例の50曲入り。
②某告発の件が惨すぎて入れるか迷ったけど個人的に1stや2ndより傑作だと思ったので…。
③ミニマルなアンビエントジャズ。レイハラカミを想起させる浮遊感が心地良い。なんとweek dudusを超えてくる52曲入り。
曲単位
①Saweetie『Best Friend (feat. Doja Cat)』
②VTSS『Goin Nuts ft. LSDXOXO』
③Silk Sonic『Leave the Door Open』
【コメント】
①流行りに流行ってるDoja Cat!!つい先日もファミマで流れててビビった。
SZAとfeatした曲と迷ったけどやっぱMVも話題になったこれっしょ〜。
最高のビッチギャル これでアガらなかったら何でアガるんですか?
ちなみにこの曲は各国の様々なアーティストが参加したリミックスアルバムが別で出てて、
日本からはちゃんみなが参加してるんですよね。
k-hiphopのJamieにも負けてないカマし!
②ほんとは去年来日するはずだったVTSS。インダストリアルで重〜いテクノスタイルがかっこよくて本当に好き!MVもバキバキにキマってて死ぬ。
いつかまた来てください、できればおれが20代のうちに。。
③ブルーノ・マーズとアンダーソン・パークによる新ユニット、Silk Sonic。
この2人がタッグを組んだらそりゃ多幸感しかないでしょう。
歌詞もオマージュに溢れているらしく(下記参照)、
【歌詞和訳】Silk Sonicの遊び心溢れる「Leave the Door Open」 | BELONG Media
MVは3ヶ月で約3億回再生、恐ろしいぜ。
プレイリスト
①High Pitched Voice of Hip Hop / R&B
②田中秀和 / Tanaka Hidekazu (MONACA) Official Subscription Playlist
③21st Century’s Organ Jazz by Mistutaka Nagira
【コメント】
①このnoteのためのプレイリスト。知りたかったことが全て書いてある素晴らしいnote。
②ARuFaの『さんさーら!』が出たときにめっちゃ聴いたやつ。
元々ニャル子のOPとか田中秀和の仕事は好きだったけど
『灼熱の卓球娘』の劇伴がテクノアルバムとして優秀で驚いた。
灼熱の卓球娘ミュージックコレクション 灼熱の音楽娘 - Compilation by Various Artists | Spotify
③ジャズ全然わからんので、柳樂さんのプレイリストは大体聴くようにしています。
化粧品
①Lashaddict/アイラッシュコンディショニングセラム
②イヴ・サンローラン/トップシークレットクレンジングバーム
③TSUDA COSMETICS /スキンバリアクリーム
【コメント】
①マスカラいらんレベルでまつ毛のびた。値段するだけ効果あり。色素沈着は1、2週間くらい耐えればマシになった。
②使用後のお肌モチモチ度は前まで使っていた
Diorのプレステージ ルバームデマキヤント
には正直負けるがコスパで見るとかなり優秀!
オイル化も早いし、なんなら落ちはこちらに軍配が上がる。
③ここ数年リピしてたキールズのUFCクリームが合わなくなって、少し予算を上げてついに購入。テクスチャが軽く肌馴染みもいいのに保湿力もあるというバグみたいなクリーム。(軽すぎて怖いから一応シカクリームでフタしてる。。)
服
①Mame Kurogouchi マメ レースカラーニット カーディガン
②HERMES カンタン ベルト 65
③Mame Kurogouchi レース&ベルスリーブデザインミニ丈ワンピース(伊勢丹別注)
【コメント】
①19SS頃のアイテム。薄手のレーヨンだから持ち運びもしやすい。繊細な刺繍がこのブランドの醍醐味。
②ウエストが結構細いので安い既製品だと大体サイズがなく、サイズ展開豊富なエルメスに手を出しました。シンプルで使いやすい。
③パーティーの予定もないのにま〜たおれは他所行きの服を…。
演劇
①ゆうめい『姿』再演
②岡田利規『未練の幽霊と怪物―「挫波」「敦賀」―』
③関田育子『盆石の池』
【コメント】
自分でやってたやつ以外だと上記以外見てないというのもあるが…
①とにかくめちゃくちゃ良かった。モー娘。で爆泣き。
②栗原類の佇まいと圧巻の森山未来、そしてダクソフォントリオ。やっぱ七尾旅人歌うめー。
③カット割ガンガンしてるし映像作品に近すぎる気もしたが普通に良かった。生の観劇とは別だとしてもアフタートークと本編の往来ができるし配信のメリットって強いね。
最近のライフハック:マンゴーやアメリカンチェリーなど前まであまり買わなかったタイプのフルーツを買って食べるといい感じにリフレッシュできる
望月峯太郎『バタアシ金魚』『お茶の間』
職業柄漫画を読む機会が多く、多分年に500作品以上読むが
近頃もはやどの作品がどんなハナシだったか全然覚えられなくなってしまったため、
印象に残った作品のみを備忘録を残してみる。
続くかどうかはわかりません。
日付変わって昨日は知人のすすめにより
望月峯太郎の『バタアシ金魚』と
その続編にあたる『お茶の間』を一気読み。
ちなみに望月峯太郎はだいぶ前に
名作と名高い『ドラゴンヘッド』を読んで、
あのあまりの不気味さと暗さに落ち込んでしまい最後まで読めず
望月ミネタロウ名義の『東京怪童』も
あまりハマらなかった覚えがあり.....
普段暗い・怖い話も別に嫌いじゃない、というかむしろ好んで読むくらいなので相性悪い作家かな〜という認識で、
望月峯太郎=ブキミでなんかこわい上にハマらない
のイメージだったけどこの『バタアシ金魚』は
名作中の名作、ドンピシャどハマり!
とにかくほぼ全ページフルスロットル!
古谷実、安達哲ラインの青春群像劇よりパワーポップでエネルギッシュ!
愛とか恋とか夢とか性欲とか自己顕示欲とか、
いろんなもんごった煮にした最高の青春ラブコメギャグスポーツマン漫画だった。
まず1話めの7、8ページ目という序盤の序盤から
主人公・カオルがヒロインをバチボコに殴る描写のそのスピードに感動。
男も女も老婆も犬も関係なく軽率に殴り、殴られるスタイルがアツイ。
(※主人公のカオル自身も所構わず殴られまくる)
バイク描写もいちいちAKIRA並みにかっこいい。
連載開始自体が85年頃ということもあり、
軽率な暴力とかバイク描写とか散りばめられたヤンキーマインドが80'sの時代を感じさせる。
ざっくりあらすじは
ひと目惚れした女の子を追いかけまわして同じ水泳部に入り
中耳炎持ちでロクに泳げないのにかっこいいところを見せようと
あの手この手(試合前に後方からブン殴ったり、人のゴーグル盗んだり、目潰しのための砂を仕込んだりと非常に卑怯な戦術)で先輩やライバルに張り合おうとするも一向に相手にされず…
謎のスパルタババアに目をつけられたことから才能が開花する….のか!?
...みたいな話なのだが、その青春スポーツ漫画の主人公らしからぬ挙動不審で思い込みが激しいクソヤバ奴、という認識から、後半に差し掛かる頃にはカオルに対して愛しさとエモさがどんどんこみ上げる。
カオルの直向きさとピュアさ、
そしてすっげー負けず嫌いなのに認めるときは相手を認める潔さにだんだん胸を打たれていく。
特に思い入れがあるエピソードは3巻あたりのリズム感がなくて6ビートが正確に刻めない話。
「変だけどまあそれはそれでいいじゃん!」と
ババアに励ましの肯定をされるたびに
「別に俺は自分じゃ変だと思ってないんだけど...」と内心思うシーン、
なんだか過去の自分に重ね合わせてしまって心がギュンギュンに締め付けられた。
別にわざとやってるわけじゃないのにどーしても他の人と同じようにうまくできなかったあの時。小学生の時姉と遊んだマリカーでも、中学の部活でも、高校の出し物で踊ったダンスでもそうだった。そんな切な悔しい記憶を唐突に抉られる。
クソバカコメディに見えて恐ろしくストレートな愛と夢の物語。
映画でも音楽でもなんでもそうだけど、
こういう素晴らしい作品に出会うたびに「あ〜〜私はこのために生きている」と実感する。
大事なATBの一つとなりました。
若さってガンバリズム!!!!!
続編の『お茶の間』はスポ根ヤンキーラブコメ漫画だった本編とは打って変わって 人生とは何か?夢とは?結婚とは?というテーマが主軸となる。
新井英樹『宮本から君へ』とはまた違う方向性ではあるけど、その熱量は負けてない。
つい最近ル・シネマで観た、
エリック・ロメール『愛の昼下がり』に通ずる恋愛観、結婚観もある気がした。
あえて未来を示唆しきらない終わらせ方も美しく、
ラストのページで思わず涙ぐむ。
社会人になってからわかる現実との戦いと葛藤、
カオルの選択も私の選択も間違ってなかったと心から思えますように。